情報社会学

 情報社会学は、2000年7月、公文俊平(情報社会学会初代会長、応用情報社会学会現会長)の『那覇宣言』によって開始された社会科学です。

 20世紀後半以降、世界ではデジタル技術が急速な発展により、社会の態様が大きく変貌し、情報社会と呼ばれるようになりました。情報社会学は、その情報社会について専門的に分析するための社会科学です。

 最大の特徴は、情報社会を、概ね16世紀後半以降の近代化の枠組みの中に置き、社会の態様を、政治の動き、経済の動きと情報化(ソーシャル)の動きの3つの動きの重畳、即ち重なり合いとして捉えるということです。

概ね16世紀半ばに開始された近代においては、時代とともに社会の態様は大きく変化するものの、これら3つの動きの重畳として捉えられることには変わりはありません。逆にこれら3つの視点から捉えなければ、偏った、不適切な理解になります。一方世界には、これら3つの動きの重畳を基本的な視座に置く社会科学は存在していませんでした。例えば政治学は、政治の動きについては専門的に分析する一方、経済の動き及び情報化の動きは対象外になります。また経済学は、経済の動きについては専門的に分析する一方、情報化の動きは対象外となります。今日、経済学で情報化を捉えようとする研究は数多く展開されているものの、「餅は餅屋」、経済学では情報化の大切なところが漏れ落ちてしまうため、どうしても専門の社会科学が必要になり、それが情報社会学です。

情報社会学の創始者、公文俊平は、このような問題意識に基づく長年にわたる研究を集大成するものとして情報社会学を構築することとし、2000年、那覇で行われた国際セミナーの際に旗揚げを宣言しました(『那覇宣言』)。情報社会学会は、公文俊平を初代会長として2005年に設立されました。